Joel's Reinforcement Library




「自分をなんと呼べば?」




喫煙をしていて止めた人の全てが、自分達と全く喫煙したことの無い人には大きな違いがあるということを理解することが極めて大切である。肉体的、精神的に元喫煙者と一度も喫煙したことの無い人は同じ感覚を持っており、態度も外見も同じに見えるほどだが、生理学的にとても重要な違いがある。元喫煙者は依然として依存症なのである。いまは症状が無いかもしれないがそれでも存在しているのだ。この違いは唯一ある状況下で明らかになる。

一度も喫煙したことの無い人は、もし本当に望めば(理屈では起こるはずが無いが)タバコを深く一服して恐らく、咳き込み、ゲーとなり、その馬鹿げて衝動的な行動の帰結として戻してしまうかもしれない。彼らはしばらくのあいだ気分が悪くなり、望むらくは二度と一服することは考えない。

元喫煙者も同じ不合理なことをして、吸い込み、咳き込み、ゲーとし、戻してしまうかもしれない。とても嫌な気分になり生理学的には一度もタバコを吸ったことの無い人が同じことをしたより更に悪い状態になるかもしれない。そして自分のしたことを憎み自分自身に腹を立てる、しかし数分のうちに、又は数時間か数日のあいだに押さえきれないタバコへの欲求が起き再び吸うことになる。二度目も同じ反応が起きる、ひどい気分になりむかついてくる。そして自分が徐々にあるいは急激に以前と同じ量あるいは更に多くのタバコを吸っていることに気が付く 

最初の一服が…不快なものであっても…一度もタバコを吸ったことの無い人には嫌悪感を起こさせるのに比べて、元喫煙者には抑えきれないタバコへの欲求を起こす、という大きな違いである。ニコチンの一服は元喫煙者にとっては喫煙再開を意味する。休眠状態だった依存症が今や全力投球状態になったのである。

あなたはいま元喫煙者、あるいはあなたが好むどんな定義でも、になりました。しかしあなたのあらゆる知覚レベルでいつでも記憶していてください、あなたは依然としてまた将来に渡って回復途上のニコチン依存症なのです。自分自身を考える時愉快な呼び方では無いかもしれません、しかしあなたの回復を持続させるためには、裏に潜み押さえ込まれた依存症ゆえに四六時中警戒を怠ってはいけないのです。なぜならば自分自身を元喫煙者と呼ばなくてはならないのは否定的に感じるし、聞こえることですが「私は喫煙者です。」と言わなくてはならない羽目に陥るよりずっと良いのです。 

喫煙者とは、いま現在自分自身に一服また一服、そしてまた一服、一日に何十回もあるいは何百回も絶え間なく服用を続けざるを得ないドラッグに服従せざるを得ない人を言います。そしてそのドラッグ…ニコチン…と共に彼らは40以上の発ガン物質と4000以上の化学物質を吸引しています、その中で数百が有害成分です。(砒素、青酸カリ、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、などなど) 喫煙者は自分自身を人類が知る最も致死性で衰弱させるリスクにさらしています。彼らはいつでも悪臭がして自分の薬物供給システムを積極的に使うことで社会的な世捨て人でもあります。

確かに元喫煙者という言葉は完璧ではないかもしれません、しかし現役の喫煙者は自認することも経験することも、もっとずっとひどいものです。あなたが選んだどんな名前を使うにせよ現在の状態を保ち、そして決して喫煙者として致死性の生活スタイルへ戻らないためにも、覚えていてください…決してその一服を吸わないで!


翻訳:西田季彦

© Joel Spitzer 2002