Joel's Reinforcement Library 


こんなにストレスが多いんだ、タバコくらい吸わなくちゃ! 


ストレスが喫煙の原因だと多くの人が思っている。実際には喫煙がストレスの原因なのです。最近の記事で喫煙を再開した人が上げる理由、社会情勢、パーティー、アルコール、そしてストレスを扱いました。今月はストレスに焦点を当てます。

1979年1月シカゴとその周辺は最大級の吹雪で被害を受けました。新年から降り続いた雪はその地域を麻痺させました。さらに翌週一杯も雪が降り続きました。この期間中私は78年11月の禁煙クリニック参加者から 「タバコを吸わないこと」 により極度に神経が苛立ち、当惑し、不安だという電話の攻勢を受けました。奇妙なことに彼らのほとんどは12月には順調だったのです。時として数秒間タバコを吸いたいという欲求が起こりましたが容易に克服することができました。彼らが1月に経験していることは違った様相を呈していました。多くの人がもう禁煙は続かないと感じていました。彼らにとってタバコ無しの人生は 「ただ無意味なもの」 でした。彼らがいま感じている心配は本当にタバコをやめたことの副作用なのでしょうか?

外部にいるどんな観察者にとっても禁断症状が奇妙に強くなったことへの回答は明白でした。実際もし彼ら元喫煙者がラジオを聞いたり、テレビを見たり、どんな新聞でも一面を読んでもらえば 「キャビンフィーバー」(訳者注:密室状態で起こる精神的な状態) の解説を目にしたことでしょう。自分達の症状をただ単にキャビンフィーバーの症状と比べれば、何が起こっているのか理解したでしょう。

不安感を禁煙のせいにするのは責任の転嫁です。実際彼らは異常な事態…嵐による監禁状態…に対して正常な反応を示しているのです。タバコをやめていようがいまいが、同じ不安感を感じたのです。

以上の話しは多くの人が似たような苦情を訴える異常なケースを説明しています。日常生活には固有の問題があります。仕事、家族、友人、そしてお金、これら全てが日々のストレスの原因となり得ます。元喫煙者は、もしこれらストレスの多いときにタバコを一本吸えば状況は解決するのだとしばしば考えます。一例を上げれば、氷雨の降るときに駐車場でパンクを見つけた場合を考えてください。この種の不幸な状況に遭遇すると元喫煙者の最初の反応はしばしば 「タバコが必要だ」 になります。本当の問題の解決はタイヤを交換して暖かい車で駐車場を後にすることです。タバコがこの場合どんな助けになるのでしょうか? パンクしたタイヤを眺めて体が冷え切ってしまう時間が長くなるだけでしょう。このことによりフラストレーションがさらに大きくなります。最初の一服がタバコへの依存症を強化してしまい、このことはバンクしたタイヤのリスクとは比較にならない大きなリスクです。実際最初の一服をしたことは、その一服をさせた原因のリスクより必ずや大きな問題となるのです。本当の大惨事、家族の死、怪我、病気、大きな財産を失うような洪水、そして破産などでもタバコは問題を解決しません。タバコは最初の悪い状態にさらに大きな問題を付け足すだけなのです。

覚えていてください、タバコは毎日の問題を解決してくれません。問題が何であれ、タバコよりも効果的な解決方法があります。実は、喫煙者の健康リスクは…けっしてその一服を吸わない…ことにより解決のできる本当の問題なのです。


翻訳:西田季彦 

(C) Joel Spitzer 1982, 2011